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大学の授業料免除と高校の無償化

4学期(2年後期)も授業料の全額免除になりました。初めての時と比べれば大したことないですが、今でも封筒を開けるときはどきどきします(笑)

さて、民主党政権が誕生して2ヶ月が経ち、公約に掲げられていた高校無償化が怪しい雰囲気を帯びています。「無償化」といっておきながら所得制限をかけるという主張が出てきています。私は次の二つの理由から所得制限の導入には反対です。

ひとつには、所得制限付きの授業料補填は現行の授業料免除と大差ありません。
学校側から各生徒の授業料を負担する者の所得を強制的に開示させる方法がない以上、授業料の免除は申請をもとにしたものになるでしょう。これだけ大々的に報道で取り上げられていますから、大部分の生徒が対象になるような予算が組まれるはずです。それを見て多くの生徒から申請が来るでしょう。さて、その膨大な申請を処理するのは誰でしょう。また、どこに「高所得者」のラインを引くのでしょう。年収600万で一人っ子と年収1000万で三人兄弟のどちらが優先されるのでしょう。各生徒の状況に合わせて制度を柔軟に運用しようとすればするほど生徒から回収する情報は増えますし、それを審査する作業も大変になります。鳩山氏のようなごく一部の「恵まれた家庭」の生徒を授業料免除対象から外すためだけに、学校は審査作業に忙殺され、生徒・家庭は膨大な個人情報を開示することになります。単純に「年収xx万」と書きましたが、給与所得者と自営業、農家の差はどう考えるのでしょう。親が若い頃に一山当てて、働かずに遊んで一生暮らせる「無職」はどう扱うのでしょう。高校無償化は戸別給付ではなく学校を通した間接的なものにすべき、という議論の根拠は何だったのでしょう。なぜそこまでして一部の生徒の親(高所得者)に授業料を払わせることに意味を見出せるのでしょう。高校無償化とは国全体で子育てを応援すると言う哲学の一部であり、扶養控除を廃止して子供手当の財源にするような痛みを覚悟した決断ではなかったのでしょうか。

もうひとつは、教育費は親が払うものという慣わしが生き残ってしまいます。
大学などの高等教育を受ける者に対して「受益者負担」と称して授業料引き上げなどが行われてきました。教育を受ける学生が受益者であるから、自分でその代価を支払えというのです。しかし、実際に代価を支払っているのはほとんどが学生の親です。また、受益者とは学生自身だけでしょうか。高度な教育を受けた人材を供給される企業や社会は受益者ではないのでしょうか。民主主義国家にとって国民の知的レベルの低下は衆愚政治につながる危機的状況と考えられないでしょうか。
授業料の負担を学生に課すとして、多くの場合は借金である奨学金とアルバイトなどの自分の収入だけで大学に通える学生がどれほどいることでしょう。学生支援機構の無利子貸与奨学金(第一種)も1年間の支給額が国立大学で授業料+数万円程度の金額であり、奨学金とアルバイトで学位を手に入れその後20年かけて返済するという図式は大変であっても決して不可能ではありません。ただし、サークルなどの課外活動はアルバイトのためにかなり制限されますが
ここで、忘れてはならないのはいわゆる普通の学生は親から学費+生活費を与えられて学生生活を送っているということです。どの親の下に生まれるかによって、教科書以外の学び、キャンパス以外の学びの機会が著しく制限を受けるのです。それは大学本来の教育じゃない、といって我慢するとしても、親の経済力がないばかりに大学進学を諦めて就職or手に職の専門学校という選択肢を選ばざるを得ない若者は存在しないのでしょうか。よく「自己責任」という言葉が進路選択において使われますが、親の責任つまり「他者の責任」によって自分がベストを尽くしたところで既に大衆化した高等教育(2009年大学進学率56%)を受けられないことが異常でない、当たり前のことだと言えるのでしょうか。
高校教師にも「高校は義務教育じゃないから」ということを平気で言う者がいます。しかし、義務教育とは国や保護者が最低限度子供に受けさせねばならないという義務であって、子供が学校に通う義務ではありません。1945年ならまだしも、2009年の現在においても一般化した高校、大学の教育を「受けられない」という状況は許されるものでしょうか。ちっとも努力をしない怠惰な者には「自己責任」論を振りかざせばいい。しかし、自己責任の範囲で出来うる限りを尽くしても、他のみんなが持てる権利をもてないのは果たして「受益者」の「自己責任」でしょうか。
高校の無償化、それは親の経済力によって、何の責任もない子供が適当な教育を受けられないなどということはあってはならない、という明日に希望を持てる社会を作る政策ではなかったのでしょうか。


マニフェストにでかでかと掲げた重要な政策を、正当化できる哲学も大義もなく実現できないのなら、民主党政権に対して最大の軽蔑を以って私は選挙権を行使します。
数十年後から見て、現行の民主党政権の成果が「自民党政権を葬った」だけでないことを祈ります。
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Author:othmer
下流社会から東大を目指した。
東京大学工学部卒業。
同大学院工学系研究科。

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