Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
東大生ブログランキング
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://straitgate.blog112.fc2.com/tb.php/188-2d87af1d

-件のトラックバック

-件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

事故から学ぶ技術者倫理---中村昌允



帰省で読書が進みます。そこで工学部らしい一冊。

技術者は技術の勉強だけでしていればいい、というわけではありません。その技術を用いて作られた製品が社会に出ていきます。技術者はよりよい社会を目指して製品開発に臨みます。みんなに望まれるもの、それは売れるものだからです。
しかし、すべてがうまくいくとは限りません。そうでない場合が多いでしょう。では不都合が生じたときに技術者はどうふるまえばいいのでしょうか。それがわからないければ、盲目な専門バカの誹りは免れないでしょう。

本書は実際に起きた事故を中心に、それを未然に防いだ例も含めて取り上げています。スペースシャトルチャレンジャー号の爆発事故や高速増殖炉もんじゅの不祥事などは広く知られている事件だと思います。では、そこで何が問題で、何をすべきだったのか、何をすべきでなかったのか、ということを考えていきます。著者自身も技術者として製品開発に携わり、そこで重大な爆発事故を経験します。この経験とそれに対する反省が技術者倫理を研究した動機のようです。

将来技術者として責任ある行動を期待される身としては、事故の背景が浮き上がる本書は非常に興味深いものでした。
普段学生実験で経験する失敗がそのまま大きくなるだけで惨事につながる可能性。そして実験レポートで書かざるを得ない「なぜ私は失敗したのか」という考察がどれだけ将来人命を危険にさらさないために必要であることか。
自然と背筋が伸びます。

本書のおもしろいところは事故以外のケースかもしれません。
例えば新幹線の建設。今でこそ日本経済の大動脈ともいえる東海道新幹線は1960年頃の日本にとってとんでもなく巨大な国家プロジェクトでした。そのため反発も大きく、東海道線を増強すればいいだとか、日本の標準である狭いレール幅での建設が好ましいという意見もありました。しかし、現在のような時速270kmで安全に高頻度の運行ができるのは、直線的な線路を新規に広いレール幅で建設したからです。当時としては強気な、しかし本当の高速鉄道のためには必要な提案を実現に導いたのは、技術者たちの政治的な努力でした。
新幹線の建設には世界銀行が融資を行っています。私はこれを当時の日本が貧乏だったからだとずっと信じていました。しかし、実際には世界銀行の融資は2割もありませんでした。日本人の大好きなガイアツを使って、国が途中で計画を変更できないようにしたというのです。そしてそのアイデアは大蔵委大臣佐藤栄作のものだったとか。

他にも、今では当たり前な小型の洗濯用洗剤の開発秘話、といっても技術開発は同時に進んでいたのに、製品化したのが片方のメーカーだけだったので市場競争で大敗したという話が印象的でした。企業は全体で運命共同体。技術者は技術の側面から経営者たちを説得できなければならないし、そのための政治が必要であるという話です。
これはチャレンジャー号の爆発事故にもつながります。打ち上げ前日、ある技術者は打ち上げが危険であるという報告をしました。しかし、予算削減の圧力を受けていたNASAやNASAの顔色をうかがう経営者は打ち上げ決行を主張します。その結果が取り返しのつかない爆発事故でした。後にこの技術者は内部告発を行い、倫理的な技術者の鏡という評価を受けましたが、職を追われ、健康を害しました。打ち上げ前日、彼はより良い選択肢を持っていなかったのか。後から批判をするのはたやすく、その現場にいた人は最善を尽くしたかもしれません。
しかし、事件について詳しく調査がなされ、その結果を知っている後世の私たちが同じ過ちを繰り返すことは許されません。

少し長くなりました。それだけ頭を使わせた一冊です。
技術者に倫理面で多くを要求しているように感じられた本書ですが、最後にリスク評価の話題が掲載されています。倫理、倫理、倫理、ときて最後に「君はどこまでやればいいのかな」と問うているかのようでした。
関連記事
東大生ブログランキング
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://straitgate.blog112.fc2.com/tb.php/188-2d87af1d

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

プロフィール

othmer

Author:othmer
下流社会から東大を目指した。
東京大学工学部卒業。
同大学院工学系研究科。

東大生ブログランキング


「お前を東大にやる金はない」
そう言われても諦めず、このblogを見つけた君にささげよう。
私は乗り越えた。君にもきっと、できる。


質問など返答が必要な場合はメールでお問い合わせください。
※PCからメール(hotmail.com)を受信できるようにしてください。
※ご自身のメールアドレスが間違ってないか確認してください。返事ができません。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。