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東大は誰のために


東大は誰のために―川人ゼミ卒業生たちは今東大は誰のために―川人ゼミ卒業生たちは今
(2010/09)
川人 博

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本郷の総合図書館3階で勉強していたらこんな本を見つけました。

「川人ゼミ」に釣られて手に取ったので、まず「川人ゼミ」について説明しましょう。東大の1,2年生は全員駒場の教養学部に所属します。教養で特に面白いのは「全学ゼミ」という制度。すべての1,2年生が参加できるけれど、いくらがんばっても進学振り分けなど成績面で役に立たない授業が全学ゼミです。駒場には膨大な全学ゼミがあってどれも、その上どれも面白いのですが、特に有名なのが弁護士川人博の川人ゼミです。
正式名称「法と社会と人権ゼミ」というだけあって、主に法学部に進む学生が履修しようとします。その内容は教科書ではなく実際に人の話を聞いたり現場を見学したりして、人権や社会といったものについて理解を深め思考を深化させようとするものです。私の友人も府中刑務所に見学に行ったり、駒場際で模擬裁判をやっていました。川人ゼミはかなり実践的な集団です。

さて、前置きが長くなりました。
この本は川人ゼミOBOGの寄稿集です。川人ゼミは20年ほどの歴史があるので、すでに初期メンバーは社会の第一線で活躍しています。法学部卒業のメンバーが多いので、官僚もいれば弁護士も裁判官もいます。法学者になった人もいれな医者もいます。そんな「法と社会と人権」に深く関わる立場にある30歳前後の方々が、川人さんの「東大は誰のためにあるか」という質問に自分の仕事を語りつつ答えていきます。
川人さん自身の答えが「東大に来なかった人のためにある」という答えを持っているせいか、多くの方は同じような答えを提示します。その根拠に「東大は莫大な血税が投入されているのだから」といった趣旨のことを、これまた多くの方が書いているので読んでいるうちに「またか」と感じることがありました。しかし、これだけ多くの方が同じような回答をするということは、彼ら彼女らが東大生であったころ、周りを見渡して公共のための東京大学という意識に乏しい東大生を多く見ていたのではないかとも考えられます。私のように授業料免除を始め公的な支援を多分に受けて学生生活を送る身からすれば、公共のため社会のために東京大学があるという意識は当然のものです。しかし、一般的な東大生は裕福な家庭から中高一貫の進学校といった均質的な世間のみを体験しており他者への想像力が乏しいことは20年以上変わらない事実なのかもしれません。それこそ、今ここで指摘しなければならないほどに。

卒業生が書いた個別の寄稿については、工学部からはほとんど見えない「法と社会と人権」の第一線で活躍する方々の仕事について詳しく書かれており興味深く読めました。行政や司法の仕事をしっかりやるには正しい想像力が不可欠なものだと感じました。絶対的な正解がなく、あちらを立てればこちらが立たずの中で、傷つき苦しむ人をなくし、よりよい明日を築く仕事。その忍耐と知性には自然と尊敬の念があふれます。
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Author:othmer
下流社会から東大を目指した。
東京大学工学部卒業。
同大学院工学系研究科。

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