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実は裕福なのに授業料が全額免除された友へ

「実はですね、通っちゃったんですよ」
そう言う君の声と表情は申し訳ないという感情でいっぱいだったね。
まさか授業料全額免除になるとは。

確かに君の父親は少し早い引退生活に入っている。年金生活まではまだ長い。
そこで博士課程まで行きたいと考えている君が、使える手段は全部使って、経済的な余裕を作るのは合理的な選択だ。

だけど、君は経済的困窮とはほど遠いところにいる。それは君もわかっているのだろう。
そうでなければ、駅から徒歩1分の新築マンションに住めるはずがないもんな。

ともかく、君は大学から経済的に困窮していると認められたわけだ。
大学は収入だけをみて資産を見ていない。見られない、というべきか。そこまでの事務コストはかけられないからね。
こども手当の所得制限と似たような話しさ。「本当の経済力」とやらを調べるには馬鹿みたいにコストがかかる。
親が無職だから授業料免除されたけど実は若いころに一山あてて豊かな生活を送っているというケースも聞いたことがある。
この状態に問題があるとすれば、それはシステムの側だろう。

ただ、理想のシステムがどこかに落ちていて、それを拾って来ればいいって話ではない。
授業料免除を通すために法的には両親が離婚して母子家庭になっているけれど実際は両親が一緒に暮らしているというやつもいた。
死に物狂いでシステムを利用しようとする人間は多少の倫理的問題があっても自分に有利な選択をする。
きっと私もそういう人間だ。私はぶっちぎりで貧乏で、たまたま小細工をする必要がなかっただけだ。

問題はシステムにある。
でも、批判なり非難なりしてもよくはならない。いまあるシステムが、いま使われているのには理由がある。
より良いものを求めるなら、それを実現するより優れた人材を求めなきゃ。

ずっと優秀な人、びっくりするくらい頭のいい人。
君だったら、探すより自分がなった方が早いだろう。

授業料免除の通知にも書いてあっただろう。学業優秀でかつ経済的に困窮する学生を支援すると。
君は大学から学業優秀と認められたわけだ。
君が東大生の中でもトップクラスに勉強熱心なのは私が保証する。
だから、もし授業料免除を受けることに申し訳なさがあるのなら、そのお金で生まれる余裕で今まで以上に勉強してくれ。

普通の学生生活を送るだけで四苦八苦している私を見て申し訳なさを感じているならなおさらだ。
君ならずっと高く飛躍できる。

一人の天才を育てるためなら、授業料くらい安いもんなんじゃないの?



---
という会話を中央食堂でしたのが数日前。
正直なところ妬ましい部分もあります。お前の家、金持ちだろってね。
まあ私はあーだこーだ言える立場でも、決める立場でもありません。
いまあるシステムはよくできているけれど、ベストだとは思いません。
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2件のコメント

[C117]

この件に関しては、システムの問題ではなく、モラルの問題だと思います。必要があるのなら申請すればよいし、悪用?している人があるとしたら、その人は自分自身の価値観というコストを払っているのだと思います。
持てる人がうらやましいけれど、自分の持っているもので勝負できる人になりたいですね。
  • 2011-08-09
  • 葉月
  • URL
  • 編集

[C118] Re: タイトルなし

「価値観というコスト」とはおもしろい表現ですね。覚えておきます。
留学生を見ていると、日本で生まれ育った私には理解できない行動(窓開けっ放しでエアコンつけるなど)をすることがあります。そのため最近ではよく知らない他人に特定の振舞を期待することができないのではないと想定して行動しています。そのためこの件もモラルというよりむしろシステムの問題として挙げさせていただきました。

私なら強い良心の呵責を感じるでしょうが、日本の一般的な家庭で教育に関するお金の話がされていないと考えれば、この件は議論不足の結果生じた一種の暴走と見ることもできます。
今後子供を持つ世代の賃金水準が私たちの親世代に比べて大きく低下することが予想されますので、「教育に関するお金」についての誤った認識または親子のコミュニケーション不足から進学ができなかったり、あきらめたり、逆に支援制度を必要のない人が利用したりといった事象が深刻化すると私は考えています。
どうにかならんもんかなぁ。と思うのですが、教育という場所には「いろいろ」なものが関わりすぎていて私にはナイスアイデアが浮かびません・・・。
  • 2011-08-09
  • othmer
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プロフィール

othmer

Author:othmer
下流社会から東大を目指した。
東京大学工学部卒業。
同大学院工学系研究科。

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私は乗り越えた。君にもきっと、できる。


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