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質問の仕方

アンケート調査は、適切な設問と選択肢を用意しなれば、意図した情報を得ることはできません。

たとえば、次のような質問を受けた時にどのような結果が得られるでしょうか?
「秋田美人、京美人、博多美人というように、美人が有名な地方があります。あなたの考える美人の多い土地を挙げてください。」
このような質問をすれば、多くの人は「秋田、京都、博多」と答えるはずです。特に思いつかなかった人などは、質問文に影響されて回答が偏ると考えられます。

この例からわかるように、アンケート調査をする際には、回答者にバイアスを与えないように細心の注意を払って質問文を考える必要があります。私はこのような話を大学1年のときに教養の講義で学びました。上の質問文も、教科書に載っていた例です。ということは、自分で講義を取っていなくても大学で勉強した人なら、どこかで一度は学んだことがあるのではないでしょうか。特に、文系あるいは社会科学系の学生であれば。

ところが、世の中には大学1年レベルで学ぶ内容を無視したようなアンケートが溢れています。新商品の宣伝なんかはそんなものばかりですね。商品を売りたいという思惑を持った企業が主体となって調査を行い、それは販売促進活動の一部なのですから、調査結果に対する誠意もへったくれもないというわけです。

さらにいえば、新聞やテレビの調査も似たようなものです。
昨今話題の脱原発について、事故直後にこんな感じの調査を見たことがあります。(誇張して書いています)
質問文: 「今後国内の原発はどのようにすべきでしょうか」(設問は中立っぽい)
選択肢: 1. 即刻全機廃炉すべき 2. 停止すべき 3. どちらかというと停止すべき 4. 絶対稼働させ続けるべき
こうすれば、ほとんどの方が1, 2, 3を選ぶでしょう。「停止させる」選択肢が3つあり、さらに停止させない選択肢が「絶対」という強い言葉を使うことで選びにくくなっているという構造です。
テレビや新聞は、この結果を受けて「国民の8割が原発停止を支持」と主張しちゃったりするわけです。
逆の結果が欲しければ、原発稼働を支持する選択肢の方を多くして、さらに原発停止を支持する選択肢を「即時全機廃炉」のような強い言葉を使ったものだけにすれば良いのです。
マスコミの記者は基本的に高学歴と言われる方々なので、バイアスの話を知らないわけではないと思います。すると、結論ありきで、「世論」を利用して自分の考えを述べているだけとはいえないでしょうか。
公正で絶対の真実なんて存在しない。それがよくわかります。

こんなことを思い出したのは、最近工学系研究科の卒業アンケートに答えたためです。
設問も選択肢もめちゃめちゃでした。日本語の質問が意味不明なので英文を読んで答えたくらいです。同じアンケートに答えた同期の学生も同じようなことを言っていました。

たとえば、こんな質問です。ハッキリとは覚えていませんが。
(問) あなたは卒業後どんなレベルを目指しますか。」
(選択肢) 1. トップレベル Owner/CEO 2. スーパーハイレベル Vice President 3. ハイレベル Manager 4. ミドルレベル Team Worker

まず、日本語の選択肢からは何がなんだかわかりません。英文を見て意味がわかっても、なんだか大企業の中で直線的に昇進する形の生き方しか想定していないようで気持ち悪いと思いました。ぼちぼちの人生ってもんはないのでしょうか。技術者としては管理職や役員になる以外にも熟練技術者(エキスパート、フェロー)のような栄達の形もあるわけですし。大企業における技術者の昇進の限界に近い研究開発部長なんかでもManagerでしょうから、どの選択肢を選べばいいのかわからなくなりました。
それは置いておくとしても、日本語の選択肢からは全く意味がわかりません。この調査で何を調べたいのかも。
大学としてはやりたくないけど文科省に言われて仕方なくやっているんだというならまだわからなくもないですが、日本のトップを自負している割に事務の仕事が意味不明です。

私は悲しいです。
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Author:othmer
下流社会から東大を目指した。
東京大学工学部卒業。
同大学院工学系研究科。

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