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華氏451度---レイ・ブラッドベリ



華氏451度。それは紙の燃える温度。
焚書の話であり、思想統制の話だと認識していました。
華氏911という映画を先に知ったくらいには、私たちの世代には縁がない古典SFです。

焚書という行為は忌むべきものである、とこれを読めば実感を持てるのではないかと思って手に取りました。
現代日本は焚書なんてものが身近で起こりえないと思いきや、そうでもありません。私の学生時代には、教養の必修英語の教科書を期末試験後に燃やすという事件がありました。確かに、つまらないと嫌われている講義ではありました。しかし、知性の府たる東京大学の教養学部で、その学生が本を焼くなんて、いくらなんでもひどすぎると話題になりました。

閑話休題。
この本を読んでみて、持っていたイメージと異なる部分が多々ありました。
最大の驚きは、主題は権力による思想統制ではなかったことです。
確かに昇火士(火をつけるのが仕事のfireman)は公的な制度として存在します。住民同士の通報システムがあり、相互監視社会になっています。しかし、それが何を目的として成立したのかが重要です。
それは、「わけのわからない連中」を排除するため。本を読み、難しいことをあれこれ考えている連中。理解できない連中。楽しく快い時間にさざ波を立てる連中を排除するためには、諸悪の根源たる本を無くしてしまえばいい。権力は大衆感情に乗っかっているだけ。危険思想の排除というお墨付きをつけただけ。

権力が思想統制をするために本を焼くのではなく、大衆が異質なるものを恐れ、文化が破壊された結果として、本が焼かれるということでした。反知性の行きつく先、インスタントな快楽主義の結果。
「華氏451度」のいわんとすることを理解した後で、上で書いた教科書を焼いた東大生の話を思い出すと、寒気を感じます。
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下流社会から東大を目指した。
東京大学工学部卒業。
同大学院工学系研究科。

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